課題解決事例

相反する機能課題を解決し、車体軽量化に貢献できる樹脂材料の全容とは?

環状構造のカルボジイミド(カルボジスタ®)で、耐衝撃性、耐熱性を持つ樹脂材料を実現!


樹脂メーカーJ社 研究開発部 ※本記事は当社製品を使用した課題解決のイメージストーリーです

電気自動車(EV)の開発・リリースが盛んに行われている。 電気自動車は、走行距離 燃費・バッテリー寿命を延ばすため、車体軽量化のニーズが特に顕著である。 顧客要望を踏まえた機能性樹脂の製造を行うJ社に、 自動車部品メーカーから相談が来た。

課題

機能性を担保する物性に悪影響があり、 トレードオフとなる

自動車部品メーカーからの相談内容は、 耐衝撃性や耐熱性を維持しながら成型性に優れ、かつ高い難燃性も有する新たな樹脂材料を作ることはでき ないか、というものでした。


研究開発部のB氏は、こう振り返ります。
「車体の軽量化に貢献したいとのことですが、 耐熱性と成型性のような、 樹脂材料において相反する機能を実現することは、単一の樹脂材料では難 しい問題です。 様々な原料やフィラーを組み合わせることで、必要な機能を持った樹脂を作り出さなければなりませんが、原料や相溶化剤の組み合 わせは無数にありました」


B氏らは、まず原料やフィラーの見直しを行い、ある程度候補を絞った段階で試作を開始することにしました。 相溶化剤には既存製品の製造に利用し ているものや、過去に利用したことがあるものを使用し、 組み合わせを変えながら試作と試験を繰り返します。


「試作結果は、相溶化に至らない組み合わせがあったものの、相溶化されて樹脂材料となるものもありました。しかし、耐衝撃性、耐熱性などの機能性を担保する各種物性に悪影響があり、軽量化できても機能を満たせないトレードオフの状態になってしまいます。これでは顧客要望を満たせません」(B氏)


そこで、候補を広げ、 多くの組み合わせで膨大な量の混練実験と評価を行うことにしました。


しかし、相溶化に至らなかったり、既存の商材との強い差別化ができなかったり、 何度やっても顧客要望を満たす樹脂材料にはなりません。 結果を 出せないまま、 時間だけが過ぎていきました。

課題のポイント
  • 原料と相溶化剤の各種組み合わせを試すが、 相溶化に至らないものもある
  • 耐衝撃性、耐熱性などの機能性を担保する物性に悪影響があり、 トレードオフとなる