製品情報

環状カルボジイミド 「カルボジスタ®」

概要・特長

当社が開発した新しい樹脂添加剤「カルボジスタ®」は、カルボジイミド結合を含む環状構造の化合物です。使用する樹脂や用途によって、従来のカルボジイミド添加剤の特徴である加水分解抑制効果だけでなく、耐熱性向上や増粘効果など、様々な効果を発揮する新しいタイプの添加剤です。

特長

「カルボジスタ®」の構造と効果

「カルボジスタ®」の構造模式図

対象樹脂と「カルボジスタ®」の効果

対象樹脂 「カルボジスタ®」の効果
ポリエステル樹脂
ポリアミド樹脂
ポリウレタン 等
  • 酸捕捉による加水分解の抑制
  • 混練時のイソシアネートガス発生の抑制
  • 架橋反応による増粘効果
上記樹脂のアロイ
  • 樹脂相溶性の向上
熱硬化性樹脂
  • 架橋反応による耐熱性(Tg)の向上

イソシアネートガスの発生がない新規加水分解抑制剤

ポリ乳酸に添加した際のイソシアネートガス発生量
カルボジイミド添加ポリ-L-乳酸のGC-MS分析

「カルボジスタ®」は、環状のカルボジイミド化合物であるため、樹脂との混練時に有害なイソシアネートガスを発生しない加水分解抑制剤です。そのため、製造現場において作業環境の制約を受けることなく、安全な製造および使用が可能になります。

グレード一覧

「カルボジスタ®」は粉末状の樹脂用添加剤です。
用途に合わせて、標準タイプ、微粉タイプをラインアップしています。
粉末状にすることにより、樹脂への混練や溶剤分散時の組成および反応の均一性を確保しました。

タイプ グレード サイズ  
D50
標準 TCC-NP 100~200µm 熱可塑性樹脂
(溶融混練用)
微粉 TCC-FP20M 3~5µm 塗料・熱硬化性樹脂
(溶液混合用)
TCC-FP10M 1~2µm

技術情報

熱特性

独自の分子設計により、200℃以上の融点および300℃以上の熱安定性を有するため、これまで以上の高温領域(~300℃)においても樹脂と混練することが可能となります。

「カルボジスタ®」の熱重量変化

Tm(℃) 1%重量減温度(℃) 5%重量減温度(℃)
230 365 397

ポリエステル・ポリアミド樹脂等の加水分解抑制効果

「カルボジスタ®」は、従来のカルボジイミド化合物と同様にポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン、ポリ乳酸など幅広い汎用樹脂に対しても、それぞれの樹脂の性能を低下させることなく適用することができます。また、従来製品に比べて、より少量の添加で従来以上の高い耐加水分解性能を付与することが可能となります。

ポリ乳酸(PLLA)とポリブチレンテレフタレート(PBT)に添加した際の加水分解性

PLLAの加水分解性

PBTの加水分解性

取扱いが容易な添加剤

「カルボジスタ®」は高い反応性を持ちながら、貯蔵時には非常に安定な化合物であり、取扱いが容易です。

■ 平衡水分率測定(TCC-FP10M)

乾燥直後 1日後 7日後 30日後 180日後 240日後 366日後
水分量(ppm) <100 <100 <100 <100 <100 <100 <100

【評価方法】
サンプルをを80℃、減圧、24h乾燥した後、恒温恒湿室(24℃、50%に調整)に開封状態で入れ、含有水分量の経時調査を行った。

【測定方法】
加熱気化/カールフィッシャー電量滴定法

■ カルボジイミド基の耐加水分解性評価

カルボジイミド基残存率(mol %)
0 hr 24 hrs 48 hrs
TCC-NP 100.0 100.0 100.0
従来のカルボジイミドⅠ 99.7 0.0 0.0

【評価方法】
各サンプルを85℃×85% RH恒温恒湿槽中に入れ、24時間後、48時間後に取り出して1H-NMRによる構造解析を行った。

熱硬化樹脂の耐熱性向上

熱硬化性樹脂の硬化助剤として機能し、従来技術ではトレードオフとなる各種物性に悪影響することなく、高耐熱性を付与できることが分かってきています。

  • *各種物性例:熱膨張率、弾性率、接着性、吸水率、粘度など
エポキシ樹脂に「カルボジスタ®」を添加した際のガラス転移温度(Tg)の変化
  • *上記の数値は標準試験方法による代表的な数値であり、特定の用途での性能を保証するものではありません。
    資料の内容は、予告なく変更することがあります。

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